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港湾土木 −海の中の基盤−
海は広く、神秘に満ちています。その、まだまだ未知の可能性のある海の中でも、溶接が私たちの生活を守っていることをご存知でしょうか?

港湾土木−あまり聞きなれない言葉かもしれません。海にかかる橋、湾に沿った人工島、海辺のアミューズメントパーク・・・日本の土台である地面の下で、目で見ることはないけれど、誇りを持った職人の手で溶接が行われています。

日本の海だけではなく、世界の海で港湾土木溶接を行う尾崎 豊氏に、その魅力についてお話を伺いました。
4月某日、大阪にある船着場で、1艘の船と3人の乗組員による地面下の基盤修理が行われていました。「人工島は、海に浮かぶ船と一緒。メンテナンスしないと、基盤の金属とコンクリートが朽ちて沈んでしまうんですよ。」−日常生活で当たり前にある地面が崩れてしまう?最初に説明された一言に、ただただ驚きました。
海中の鉄、特に船着場は船のスクリューによる波の影響を受けやすく、土台で固めてあるコンクリートが削れたり、矢板やアルミのインゴットが電腐により、ぼろぼろの状態になってしまうということ。防食用アルミで約10年は状態を保てるが、それ以上はメンテナンスを施さないと、崩れてしまうそうです。
では、一体 港湾土木溶接とは、どんな作業なのでしょうか?
海の中では、宇宙服のようなダイビングスーツを着用し、圧縮酸素を送ることで呼吸をし、船上にある溶接機からコードを延ばして電力を送ります。環境や必要な機械・機材は全く違うけれど、基本的な作業方法は、陸上と同じ。港湾土木用トーチ、溶接棒は特殊加工を施したものが必要になってくるが、尾崎氏はなんと自作。ただ者ではありません。
機械ではなく、誰かの手によって「しなければいけない」作業。決して安全とは言えないこの仕事を始めたきっかけは、「誰もやっていないことをやりたかったから」。では、実際の仕事として続けていける魅力は何かをお伺いしたところ、
港湾土木溶接は、陸上の溶接作業に比べて、信頼度がまだ低く、その意識を自分の仕事を通して変えたい!水中での作業は孤独なもので、作業中に気づいたことをすぐに誰かに話すことができずに、アイデアが出にくい。まだまだ発展途中なんです。100年少しの歴史の中で、先人達が築き上げてきたものにまだ自分は勝てていない。自分だけの技術を生み出して、港湾土木溶接の信頼や可能性を広めたい。
日本地図で湾を見た時に、入り組んだ地形を作り出し、支えているのは自分だって思うと、自信が湧くし、この仕事を誇りに思いますね。
−自分の仕事に誇りを持つ。仕事をする上で、とても大事なこと。しかし、ついつい忘れがちな部分。尾崎氏はそれを思い出させてくれる、とても自然な魅力の詰まった方でした。
明日、橋を渡る時、湾岸に立った時、足元の下には「港湾土木溶接」があることを思い出してみてください。
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